長時間労働の要因 その3:出世願望

長時間労働の要因の続きです。前回のその2は「金銭インセンティブ」でした。

次は「出世願望」が挙げられています。


出世願望

第三の自発的要因は、評価や昇進機会を高めるための長時間労働である。
金銭インセンティブが長時間労働で現在の所得を高めようとするのに対し、
評価や昇進機会の高まりは将来の所得を高める効果を持つといえる。

特に、ホワイトカラーの場合、仕事の成果はチームワークに依存している部分もあり、

成果や能力を立証可能という意味で正確に評価することは

成果が量的に図りやすい場合を除き難しい。

このような場合、評価を行う上でどうしてもアウトプットよりインプットとしての

努力の程度=労働時間が重視されやすい。

また、長時間労働は、自分固有の時間を企業や仕事に捧げるという意味で

自己犠牲を意味すると考えると、それ自体、所属組織に対しての忠誠心や仕事に対してのやる気を示す「信頼できるコミットメント」、「シグナル」としての役割を果たしうる。実際、諸外国の例を挙げると、Bell and R. Freeman[2001]は、労働時間と

将来所得・昇進確率に正の関係があることをアメリカ、ドイツのサーベイ・データで

確認した。

また、Bratti and Staffolani[2005]は、労働時間と昇進確率の正の相関を

イギリスのサーベイ・データでも確認した。


長時間労働をしていると、努力しているという評価を得やすいし、

信頼できるやつと思われるらしいです。


自分の経験からも納得できます。

銀行、コンサル、地方自治体、どこ行ってもこの風潮は同じですね。

(中でも、地方自治体では生活残業(その2の金銭インセンティブの残業)で

 ゆるゆる長時間仕事する人が評価されるのは違和感ありまくりでした)


医師は当たり前のようにみんなが長時間労働している環境なので、

早々に帰る奴は敵視されそうですね。


「このコミュニティに所属しているのであれば、

 みんなが頑張っているのに早々に帰るのはおかしい」


ただでさえそんななのに、患者さん抱えてたら…

いやー、なかなか帰れませんよねこれじゃ。

医師の働き方改革を考える

このブログは、過酷な労働環境にある医師の働き方改革に関する情報を追っていくページです。 「医師の働き方改革に関する検討会の報告書」を読み解いていきつつ、関連情報を随時考察していきます。

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