長時間労働の要因 その6:市場の失敗

長時間労働の要因の続きです。

前回のその5は「プロフェッショナリズム」でした。


今回からは非自発的な要因になります。

まず「市場の失敗」が挙げられています。

説明がそこそこ長いですね。


市場の失敗

次に、労働者が自分の希望に反して長時間労働を選択している場合を考えよう。まず、古典的かつ典型的な例は、使用者側の買い手独占の場合である。労働市場において労働者側が労働供給先をなかなか選ぶことができない場合、当然、使用者側の交渉力が強くなり、意に染まぬ長時間労働を選択せざるを得ないケースが考えられる。日本の場合、戦前の「女工哀史」にみられるような事例が典型的であるが、諸外国も労働市場の近代化、整備などによってこうした要因による長時間労働の問題は少なくなってきている。しかしながら、外部労働市場が未発達で、広義の転職コスト(職探しに費やす金銭的・時
間的コスト、転職後の賃金水準低下、転職による評価の低下など)が大きければ、慢性的な長時間労働から抜け出すことは難しくなる。また、長時間労働が深刻な場合、転職したくても転職に費やす時間やエネルギーさえもないというケースもあるであろう。長時間労働の問題は労働市場の効率性や機能の問題とも深くかかわっているのである。
アメリカなどの英語圏の国では日本よりも平均的な労働時間が長い場合もあるにもかかわらず、過労死が聞かれないのは労働市場の流動性などの機能の違いも影響している可能性があろう。


転職先(他に買ってくれる先)を見つけにくい状況だと、
所属組織の言うことを聞かないといけなくなるって感じですね。


自分は医師ではないのでわかりませんが、昔は教授に嫌われたら終わりって感じの

白い巨塔のような世界だったと想像されます。


今は昔ほど大学の人事権が強くないと聞くので、マシになっている可能性は高いでしょう。


ただ、お医者さん自体が少ないので、「長時間労働に文句言うヤツ」という評判が立つと

なかなか思うような転職先は見つからないのかもしれません。


この辺はお医者さんに聞いてみたいところです。

医師の働き方改革を考える

このブログは、過酷な労働環境にある医師の働き方改革に関する情報を追っていくページです。 「医師の働き方改革に関する検討会の報告書」を読み解いていきつつ、関連情報を随時考察していきます。

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